第43話 僅少来訪者

2018年12月 9日 12:00 カテゴリ:兀天狗

有機地球化学の国際ワークショップに参加している私は,オドオドしながらも,ポスターの近くに立って,聴講者を待ちます.

あまり,前に立ちすぎると,聴講者がゆっくりできないかな~と思って,

少し離れたところで見ながら,私のポスターの前で足が止まる人を待ちます.

(欲しくもない商品をやたらと勧めてくるアパレルショップの店員みたいにグイグイ行くと失礼かな~と思い,興味がありそうな人がきたら説明に行くスタイル.)

すると,海外の研究者の方が,足を止めていたので,近づいてみると,「説明して」的な流れになったので,

私の研究を説明します(ほぼポスターを読んでいるだけでしたが,なんとか伝わってくれ!!)

「OK, OK」と相槌を打ちながら話を聴いてくださっていましたが,これは「理解」していただけたのでしょうか?

少し自信がありません.

不安に駆られる私.

そんな心情をしていたせいなのか,残念なことに,ポスターにあまり人が来ませんでした.

なぜ,これほど人が来ないのか.

実力だと思いますが,自分のポスターに人が集まらないのは,精神的に堪えました.

がんばって研究して,頑張ってポスターを作ったのに,アウトプットできてない.

一方で、〇〇さんのポスター付近には,常に人がいました.

もはや,都市と限界集落の差です.

少し辟易した私は,逃げるようにトイレに行きました(もちろん用を足すため).

今考えられる「人が集まらない理由」は,3つあります.

・自信をもって,ポスターの前で堂々としていなかった.

やはり,これにつきるかと.たぶん90%くらい.

英語で話すこと,理解できないことと伝えられないことへの恐怖心.

現実(弱い自分)と向き合うことから逃げましたね.

ポーランドでは,ジェンキンズ先生という最強のガーディアンがいたので,グイグイ行きましたが,

虎の威を借りられない狐は弱いです.

今思えば,失敗なんて,へのかっぱです.

どんどん失敗して,そこから学べばよかったですよね,せっかくの舞台なのに.

弱い自分を見つめることはとても苦しいですが,逃げてばかりじゃ変わらないですもんね.

最近も弱い自分から逃げずに仕事しなければな~と思います.

・有機地球化学の人に,化石のおもしろさを伝えられなかった.

まあ,これは私だけかもしれませんが,

分野外の研究って,興味をもつ(面白いと思う)こと,理解することが難しくないですか.

正直に申しますが,私も隣の研究室で行われている「炭素同位体比層序」や「バイオマーカー」や「貝形虫」、「有孔虫」に対して,興味がわきませんでした.

私の研究では,「有機化学」や「生物学」の知識も必要なので,上述のキーワードも割と近いです.

そういった,近いけれども異なる分野に興味・関心を持てるかと言われると,一概にそうはいきません.

(好奇心の塊ならば話は別)

私も古生物学会などに参加しましたが,興味が湧く研究と,湧かない研究がありました.

興味が湧かない研究のポスターはあまり見ませんでした.

今回の場合,私の研究テーマ「化石×有機地球化学」のおもしろさを「分子化石屋」や「無機(有機)炭素同位体比屋」に伝えられなかったのではないでしょうか.

ちなみに,M2に上がってからは,「炭素同位体比層序」や「バイオマーカー」や「貝形虫」、「有孔虫」もおもしろいと感じるようになりました.

少し知識が付いてくると,おもしろくなってくるもんですね.

仕事も同じですかね.

ある程度,経験を積んで理解が進むと楽しくなってきますね←12月にして,ようやく到着しました(長いトンネルだった).

・人脈

学会といえども,知っている人がいるのといないのでは,楽しさがまたひと味違います.

みなさんも部活動などの大会で他チームの友達と対戦した経験はありませんか?

感覚的にはあんな感じです.

しばらく会っていない友人(先輩・後輩)がどこまで研究が進んでいるのか,お互いにお披露目の場です.

共同研究ならなおさらでしょう.

また,どんな研究をしているか知っている人が発表するならば,足取りも軽くなるでしょう.

学生(修士まで)のうちは,なかなか人脈が広がりませんが,人のつながりは大事だな~と熟々思います.

さて,トイレから帰ってきた私の目に飛び込んできたのは,

私のポスターの前に立っている一人の男性の姿.

「僕も化石からアミノ酸抽出してるんだけどね」

そう!!!あの"内藤裕一"さんが私のポスターに来てくださっていたのです.

トイレなんか行っている場合じゃなかった!!!!

内藤さんが気にされていたのが,「そのアミノ酸がその生物のものであると示す根拠」.

もちろん私も気にしています.

現在の科学には,これを直接的に示す画期的なツールがありません.

私たちの研究で"それ"を示すために利用した指標は,いくつかありますが,

ほかにもあるのかと内藤さんに尋ねました.

「あるよ」

私の知らない手法をいくつか教えていただきました.

「詳しくは自分で調べてね」と言い残して,去って行きました.

実は,ここでの出来事が修士の文献演習につながることになるんですよね.

本学会では,ポスターにあまり人が集まらず,辟易な思いを抱いてしまいました.

ただ,学会によって,雰囲気が全然違うと感じることもできました.

楽しめる学会に参加することができれば,博士への進学もポジティブに考えられますが,逆も然り.

個人的には,内藤さんに研究紹介できたことが,最大の収穫です.

ああ~,名刺交換しておけばよかった!!!!

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先週は家のネット回線の調子が悪かったため,更新できませんでした.

ご了承ください.

また,来週は仕事のため,休載になります.