新たな鯨骨を入手

2017年12月 8日 05:45 カテゴリ:研究日誌

うちの研究室のメインストリームになりつつある遺骸に形成される生態系シリーズ(竜骨群集・鯨骨群集)ですが,現生における遺骸依存型生物群集の研究は遺骸の入手から始まります.

遺骸の入手は予想以上に困難なのですが,多くの方々の協力を得てちょいちょい入手できています.先日も早朝に能登の魚屋さんから一本の電話が入りました.

定置網にクジラがかかってしまったようで水揚げされたとのこと.魚の捕獲用の網に,ときおりクジラまでかかってしまうことがあるようです.そのクジラは市場に流通するわけですが骨の部分は誰も利用しませんので我々の研究に利用させていただくのです.

電話のあと,さっそく引き取りに行きました.金沢から能登まで片道2時間半のドライブです.元々その魚屋さんには万が一クジラが水揚げされたら教えて欲しいと連絡していたのですが,同時に欲しい部位も伝えていました.今回はいつも実験している脊椎骨の他に,頭骨もお願いしたのです.骨の部位ごとにできあがる生態系が異なるらしいからです.

魚屋さんにつきました.でかいです・・・・.頭骨,でかいです.

「でかー!」と言ったら魚屋さんは「なんの,これは小さい方だよ」とのことです.でも私にとってはでかいです.長さは1メートルくらいあります.全長だと5メートルちょっとでしょうか.博物館とかで標本になっているクジラは見たことがありましたが,生の頭(だいぶ捌かれていたけど)を見たのははじめてだったのでその迫力に圧倒されてしまいました.それにしてもとても重い!魚屋さんにも手伝ってもらってどうにか車に乗せます.

そこから今度は大学への帰路につきます.腐敗しないうちにさっさと戻らなくてはなりません.研究室の面々が到着した鯨骨に群がります.海底に沈める前の状態を調べておくために,いくつか骨に残っている軟体部をはぎ取ります.それが海底でどのように変化していくのかを調べる基礎データになります.まだ海底に沈める日を決めていませんが,卒論や修論が落ち着く2月以降にしようと思います.この鯨骨がどんな生態系を作り出してくれるのか,楽しみです.

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