Four new species of the Jurassic to Cretaceous seep-restricted bivalve Caspiconcha and implications for the history of chemosynthetic communities

2017年11月 2日 08:06 カテゴリ:Article

  

Jenkins, R.G., Kaim, A., Hikida, Y. and Kiel, S. (in press)  Journal of Paleontology   Link

概要

白亜紀から古第三紀にかけて現在の深海の熱水やメタン湧水に生息する化学合成生物群集の構成種がガラッと変わりました.

恐竜絶滅の原因にもなった白亜紀末の隕石衝突とは関係なく変化しているので,その原因を知りたいと思って研究しています.いくつかの仮説が出されているのですがどれもピンと来ません(きちんと検証する必要がありますが).

その前に"ガラッとかわった"時期や場所,絶滅した生物と新しく出てきた生物の生態の違いなどもをもう少し絞る必要があります.

それで,私が着目しているのが中生代の冷泉(メタン湧水もしくは冷湧水という)に生息していた絶滅二枚貝,カスピコンカ(Caspiconcha)です.海底に半分殻を埋めて生息する,現在のシロウリガイと同じような生活スタイルをとっていた貝で,そのようなスタイルをとっていた貝は白亜紀にはこの貝だけです.もし仮にこの貝が現在まで生き延びていたら,現在のメタン湧水で大繁栄しているシロウリガイ類や一部のシンカイヒバリガイ類と間違いなく競合する半埋没スタイルです.そのため,この貝のことをきちんと調べれば白亜紀のメタン湧水で起きた構成種の入れ替わり現象の原因を明らかにできるのではないかというのが研究のモチベーションです.

カスピコンカはジュラ紀に出現し,ほとんどは前期白亜紀末(約1億年前)にいなくなり,最後の生き残りが後期白亜紀のカンパニアン期(約8300万年前)まではいました.

今回の論文はこの貝の絶滅期である前期白亜紀の終わりごろから後期白亜紀にかけてのこのカスピコンカ属二枚貝を4種の新種を発見し,その新種記載の論文です.

これまでは世界で3種しか報告がなかったのですが,今回の報告で7種になりました.また,当初は前期白亜紀末でほぼいなくなったと思っていたのですが,研究を進めるうちに前期白亜紀末で少なくなっているものの,いくつか生き残りが後期白亜紀にも生息していたことがわかってきました.

今回の論文では絶滅の原因を明らかにすることはできていませんが,きちんと種を記載し,どこにどの種が生きていたのかを報告しました.

新種記載の論文はその中身を論文の出版までは世間に公表できませんので詳しい中身はまた今度書きたいと思います.

ちなみに,今回報告するうちの1種の新種名はなかなか面白い名前をつけました.お楽しみに!